介護報酬とは、介護サービスを提供する事業所に、そのサービスの対価として支払われる報酬のことです。
この記事では、「介護報酬の仕組みを知りたい」「介護報酬と給与の関係性を教えてほしい」という悩みを持つ方に向けて、介護福祉士として現場で9年間勤務した私が、介護報酬とは何か詳しく解説します。
記事を読むと、介護報酬制度を理解できるうえにどうすれば給与を上げられるのか明確にわかるようになるはずです。
ぜひ、最後までご一読ください。
介護報酬は、事業者が提供する介護サービスの対価として事業所に支払われる報酬です。
この報酬額は、利用者が受けたサービスの種類や量に基づいて計算されます。
例えば、訪問介護や訪問看護など人件費の割合が高いサービスでは、それに応じた報酬が設定されます。
介護報酬の計算には、サービスごとに定められた人件費率や地域による物価の違いが加味されるため、地域やサービスの種類によって報酬額が変動するのです。
さらに利用者の自己負担額は、介護保険によって定められておりサービス利用の度合いに応じて上限が設定されています。
自己負担限度額を超える部分は、利用者が全額負担する必要があります。
介護報酬の仕組みは、介護サービスを提供する事業者が受け取る対価です。
介護報酬の計算方法は複数の要素に基づいており、「介護サービスの単位数 × 1単位あたりの単価」で計算されます。
ここでは、介護報酬計算の基本である「単位」と「単価」、「加算」について解説します。
介護報酬の計算においては、「単位」と「単価」が基本的な要素となります。
これらは介護サービスを提供する上で、サービスの質や提供地域によって異なる金額が設定されています。
ここで、「単位」とはサービス提供の量や時間を指し、「単価」とはその単位あたりに設定された金額です。
例を挙げると、特定のサービスにおいて「1単位」が「10円」と定められている場合、この10円がそのサービスの「単価」となります。
サービス提供の過程で積算された「単位」に対して、この「単価」が乗算されることで、最終的な介護報酬が計算されます。
さらに、「人件費割合」も介護報酬計算における要素の一つです。
この割合は、提供されるサービス全体における人件費の比率を示し、人件費に占める割合が高いほど、報酬額に大きく影響します。
しかし、人件費は地域によって違います。
全国で同じ料金を設定すると、場所によっては不公平が生まれるでしょう。
不公平が生まれないために「地域区分」という制度があります。
地域区分は、全国423の市町村を8つの区分に分けて、地域による差を調整するものです。
この区分は公務員の地域手当に基づいており、各地域によって加算される割合が設定されています。
具体的な地域の区分については、厚生労働省の資料を参照してください。
介護報酬計算を計算式で表すと以下のとおりです。
「1単位の単価」は基本10円ですが、「サービス全体における人件費割合」と「地域区分の割合」が加算されます。
地域やサービス内容などにより「1単位の単価」が変わります。
1単位当たりの単価一覧は以下の通りです。
地域別(上乗せ割合) | 人件費割合@70% | 人件費割合A55% | 人件費割B45% |
---|---|---|---|
1級地(20%) | 11.40円 | 11.10円 | 10.90円 |
2級地(16%) | 11.12円 | 10.88円 | 10.72円 |
3級地(15%) | 11.05円 | 10.83円 | 10.68円 |
4級地(12%) | 10.84円 | 10.66円 | 10.54円 |
5級地(10%) | 10.70円 | 10.55円 | 10.45円 |
6級地(6%) | 10.42円 | 10.33円 | 10.27円 |
7級地(3%) | 10.21円 | 10.17円 | 10.14円 |
その他(0%) | 10円 | 10円 | 10円 |
加算は基本単位に加えて、特定の条件下でサービスが提供された場合に追加される報酬を指します。
これには、質の高いサービス提供を促進するための各種加算が含まれています。
加算の一例を挙げます。
これらの加算を適切に活用することで、事業者はサービスの質の向上につながる報酬を得られます。
ただし、基準を下回っている場合、減算されるケースもあります。
介護報酬と介護職員の給与は、表面上は別概念と思われがちですが、実際には密接な関係があります。
介護報酬は介護サービス事業者が国や自治体から受け取る対価であり、この報酬額が事業者の収益に直接影響します。
事業者の収益が良ければ、介護職員の給与や待遇改善に反映されるでしょう。
介護報酬の額は、提供される介護サービスの量や質、事業所の運営効率などに基づいて決定されます。
例えば、質の高いサービスを提供しそれに伴う加算を多く受け取れる事業所は、より高い報酬を得られるため、職員への給与還元が可能になります。
しかし、介護報酬の受け取り額が職員の給与に直接自動的に反映されるわけではありません。
介護報酬の増減と職員の給与の関係は、事業所の経営方針や財務状況、業界全体の動向にも左右されます。
介護保険制度の下では、3年ごとに介護報酬が見直されています。
この改定は、時代のニーズや物価の変動、社会情勢に応じて行われます。
2021年度の改定内容は、以下の通りです。
新型コロナウイルス感染症の影響で感染症対策のコストが増加したことを受け、事業者の負担を軽減するためのプラス改定が行われました。
介護職員処遇改善加算は、介護職員の処遇改善を目的とした介護報酬上の加算です。
介護職員処遇改善加算の導入により、介護職員の賃金水準は向上しています。
詳細については、介護処遇改善手当の記事を参照してください。
関連記事:『介護処遇改善手当とはどんな制度?制度のしくみや支給対象者、支給される金額について解説!』
介護報酬に関する知識を理解したうえで、介護士が給料を上げる方法にはいくつかの具体的な手段があります。
給料を上げるための主な方法は以下の通りです。
介護士として専門性を高めるためには、資格取得や研修への参加が有効です。
例えば、介護福祉士やケアマネージャー(介護支援専門員)などの資格を取得すれば、専門性を証明し、より高い給料を得るチャンスが生まれます。
現場の介護士から施設の管理職やリーダー職に昇進することで、責任のある仕事を担い、それに応じた給料の増加が期待できます。
また、同じ介護士の職でも、施設や企業によって給与体系が異なるため、条件の良い職場への転職を検討することも有効な手段です。
最後に介護報酬に関するよくある質問に回答します。
介護報酬とは、介護保険制度の下で介護サービス提供者(介護事業者)が提供した介護サービスに対して、国や自治体から受け取る対価を指します。
この報酬は、サービスの質や量、提供した介護サービスの種類に応じて計算され、事業者に支払われます。
介護報酬は、介護サービス提供後、事業者が行ったサービスの内容を基に算定し、請求します。
その後、審査支払機関による審査を経て、適切と判断されれば報酬が支払われます。
一般的に、報酬の請求から支払までの期間は、事業者や地域によって異なりますが、数週間から1ヶ月程度を要するケースが多いです。
介護報酬は主に、国や地方自治体が運営する介護保険制度から支払われます。
具体的には、介護保険料や国や自治体の財政支出によって賄われる制度の中で、介護サービスを提供した事業者に対して、介護保険の適用範囲内でサービス提供に対する報酬が支払われます。
介護報酬の具体的な計算式は、「基本単位数 × 単価 + 加算額」で表されます。
ここでの単価は、その地域ごとに定められた基準に基づくものです。
地域やサービスの種類によって単価は異なります。
正確な報酬額を知るためには、それぞれの条件を正確に理解する必要があります。
介護報酬に上限が設けられているのは、介護保険制度の持続可能性を保つためです。
介護保険制度は公的な保険料や税金によって賄われており、制度全体の安定性を損なうことなく、経済的に合理的な範囲内で介護サービスが提供されるようにします。
これにより資源の適切な配分が図られます。
介護報酬は事業者が提供した介護サービスの対価として事業所に支払われる報酬です。
この報酬は、提供したサービスの種類や量によって変わります。
介護報酬は介護職員の給与と密接な関係があり、事業所の収益に影響を与えます。
収益が良ければ職員の給与や待遇改善につながるのです。
しかし、介護報酬の改定が自動的に給与増加につながるとは限りません。
介護報酬は3年ごとに見直されます。
介護士が給料を上げるには、資格の取得やスキルアップ、職場での昇進や役割の変更、転職が有効な手段です。
特に資格の取得はキャリアアップにもつながるため、給料を上げたい方におすすめです。
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